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魚丸記

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2007年 01月 18日

のだめドラマ考

ここしばらくつらつらと考えていたことをC_Cさん(偉大なる装置)に触発されて書いてみました。
ネタバレあり・まとまりなし・読んで後悔すること間違いなしの長文が展開されます。

上記利用規定に同意いただける方のみ、お読みください。



私は、今回のドラマ化=漫画の音読と捉えている。

第二回目から見たのだが、千秋の独白になぜか「ハ、ハズカシー!」となって身悶えせんばかり。なぜだ。しばらく見てちょっと気分的に落ち着いて、アレだ、と思い当たった。

私には年の離れた従兄妹がいる(ちょうど今半分くらいの年齢・中学生)。彼らが御歳小学校低学年のころに珍しく帰省し、子供係の私は子供にまみれて遊んでいたのだが、そのときの流行は『とっとこハム太郎』だった。次はこれを読むんだ、と言う。まだ字がたくさん読めないらしく、ハム太郎を音読を要求された。ご覧になった方にしか分からないのだが、アレはやたらと「…」という吹き出しが多く、とっても読み辛い。テンポもクソもない。しょーがないので棒読み。なんでハム太郎を読まなアカンねん?という雑念に苛まれつつ、コマを指差して淡々と進んでいく。「ここ、ちゃんと読んで」ダメ出しデスカ…。仕方ないので「てん、てん、てん」と読む。嗚呼、恥ずかしくて死にそうだ。しかも、めくってもめくっても人間と動物以外キャラの区別がつかない上に、皆食ってばっかで全然ストーリーは進行しない。従妹は食い込むように見つめているが、面白いのか…ところで、ひょっとこはどこで出て来るのかな?と思ってふとタイトルを確認すれば、とっとこであった。無理(と結構とんでもないところで中断。子供並み、と言われる所以はこの辺だろう)。

話が逸れた。まー要するに、のだめを見つつ、あのときのコッ恥ズカシさ加減をまざまざと思い出したということである。漫画の台詞「なんだよ」とかが発音されるのはともかくト書き?地の文?に準ずる内心の声(ダメだな…)などが発声されるという事実に打ちのめされる。ぎゃふん。ドラマでは完全一人勝ち主人公扱いの千秋が最たるもの。その内面の声がバレバレだ。これではサトラレ(※)ではないか。ふと気付けば、のだめの違和感はほとんどない。確認のために漫画を読み返したりはしていないが、のだめの内面の声はほとんど(…)であって、フツーそこは声に出さないだろ、というシーンでもほぼ例外なく「(例文が無いよ)」しゃべっている。なぜしゃべる。あ、実はのだめはサトラレであったか!ドラマ化されない限りは気付くことのないことのなかったこの事実。ドラマ化によって、千秋まで…。

※サトラレ分かんない方、ごめんなさい。そういう漫画があるのです。私も、たまにチラ見する程度で単行本丸々一冊で読んだ記憶もないので何も紹介できません。要は内心思っていることと口に出して相手に伝えることは違うのが普通ですが、一致しちゃう種類のひとがいたらという設定の漫画です。(漱石でも部分的にそういうひとがいましたね。私も実際遭ったことがあるけど、とっても吃驚します。「魚丸はいいようなことをいうけど、あんまり信用したらいかん」とかって正面切って言われると。リアクションとれません。)

まぁ良い。
コレはちょっとアカンやろ、というシーンが二つあった。
1. 彩子とのだめがトイレでからむシーン。「アイツ、こういうのに弱いのよね…」って抱きつく女に弱いのではない。どっかにのだめのでっかい手指がガガン!と出ていなくては、意味不明。
2. きれいになった部屋に入った直後。のだめの「うわぁ~やっぱりきれいだと音が違いますぅ~」何の音?ドアノブの反射音の響き具合で判断したのでありましょうや。いや、そういうの多少はアリだけど、原作だとこの台詞はピアノ弾きながらなんだよね。常識的に。

なんでこうなったんかなー、ということをつらつらと考えたのだが、やはり脚本の読みが甘かったということに尽きるだろう。台詞の必然性を考えれば、何かが足りないことに思い至るはずである。勿論、漫画を読み込んでいれば遠い記憶とのちょっとした齟齬、楽器をやっていれば音の有無は天と地の差だ(ウルサイから)。すぐ分かる。おお、そうかだからたくさん演奏を聴いて常識を増やせとか作曲者の生い立ちだとか家庭環境だとか時代の背景だとかを勉強しろ、と言われるのだな、と妙に納得。他方向から攻め取れと。

ところで楽器はプロでない俳優が演じる、ということについて。

生花を並べたお花屋さん(本物の花屋さん・素人)と造花を並べたお花屋さん(俳優)とではどちらが良い芝居になりうるか。単に本物(と同じ属性を持つもの)を並べれば良いって訳ではあるまい。手元にあるのが本物の花かどうかより、花屋に見えるかどうかのほうがよっぽど大事だ。たぶんその辺の花屋さんよりは俳優のほうがその場にそぐわかしい花屋さんに見える(はず)。花は小道具に過ぎない。まぁダンボールで作った造花なんかだと、げげげ!ダンボールだ!というのが目について演技が目に入らないかもしれませんが。

by uwomaru | 2007-01-18 11:27 | 日常


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